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なんとなーく思いついた短い話をちまちま上げていこうと思ってます。        ジャンル雑多を目指してみる。でも予定は未定。
2026/04/26  [PR]
 

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いつものように微笑んで。
いつものように嫌味を言って。
しかし今日は思いがけない

「お・・・」
盛親の目の前で、階段を降ってきた全登がふらりとよろめいた。
「て、全登殿」
珍しさに目を見張りつつも、盛親は慌てて全登を支える。
「大丈夫か」
盛親が尋ねれば、全登は相変わらずの笑みを彼に向けた。
それにふと違和感を感じるのは、盛親だけだったかもしれない。
「もう年ですかねぇ・・・すみません」
「・・・」
「えーと、盛親殿?」
いつまで支えられていれば良いものか。
全登はいつまでも沈黙したままでいる盛親を、見上げる勇気も無く動かずにいた。
「全登殿」
「なんで御座いましょう」
「疲れているようだから、部屋までお連れしよう」
「は」
思いがけない言葉に思わず全登は盛親を見上げる。
彼は至って真面目な表情をしていた。

どんなに言葉を尽くしても、一度決めたものを覆さない盛親に、
珍しく全登は折れた。










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よろめくのを支える(抱きかかえる)て、よくないですか。
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一向に振り向きもしない頭。
背中からの呼びかけに応じないのなら、

「先輩、先輩」
西田は流れるように「先輩」の手にする文庫を取り上げ、しゃがみこむ。
不機嫌な顔を前面に押し出した「先輩」こと新城は丁度見上げる形となった西田に視線を向けた。
「何か用かね」
呼びかけに全く応じなかったという罪悪感がほんのりとあったのか、新城は折れた。
にもかかわらず、西田は人好きのするにっこりとした微笑を向けると、
「特には、ないんですけど」
文庫にしおりを素早く挟んで机に置いた。
「・・・不必要に人を呼ばないように」
ため息ひとつ、新城が文庫に手を伸ばそうとする。
それを西田が阻んだ。
再びじろりと睨み付けられた西田は困ったような笑みを浮かべた。
「夢を見たんです」
唐突に告げられた新城は眉を顰める。
「自分には、ずっと、離さないでいるだけの強さがあるでしょうか」
続いた言葉に更に眉間に皺を寄せて、
「質問の意図がわからないな、西田少尉?」
新城は文庫を諦めて煙草を取り出そうと動いた。
その動作を眺めつつ、西田はふと、あの愛しい猫は今どうしているか、気になった。
「そういう、夢を見たんです」
新城はちらと西田に視線を向け、すぐにその後ろの窓へと移す。
「これは僕個人の意見だが。それは強さと言えるのか、甚だ疑問だ、と思うがね」
煙草の煙を西田に吹きかければ、西田は一瞬目を瞑り、そして目を瞬いた。
「先輩」
「何だ」
西田はいつものようにへらりと笑っていた。
「隕鉄に会いに行って来ます」
いつものように、とはいえ幾許か嬉しそうに見えるのは、西田が求めていたものが少しは返ってきたからだろうか。
そんなことはどうでもいいのだ。
と、新城は自分の思考を打ち切り、いつものように
「そうしてきなさい」
ぶっきらぼうに送り出した。











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ちょっと意味わからない西田とか好きなんです。

「あー、どっこいしょ」
どさりと重たい音を聞き。
同時に
背後から聞こえた、なんとも年寄り臭い声に思わず又兵衛は肩をすくめた。
「おい勝永。そなたまだ若いのだから」
「出ちゃったものは出ちゃったの。だから仕方ない」
「・・・」
呆れたものだ。
又兵衛の、口ほどに物言うその視線から逃れるように勝永は
「幸村手伝ってくるー」
そそくさと姿を消してしまった。

さて。
部屋には又兵衛一人。
大量の荷物が敷き詰められているのを見回して、
思わず彼の口からはため息が漏れた。
部屋の大掃除のためとはいえ、
まさかこんなにも物が溢れているとは思わなかった。
各々風呂敷に包んで持ち込んでいるのだが。
「・・・っと」
出入り口を目指そうとして又兵衛は何か固いものに足を引っ掛けた。
見ればなにか、金属めいたものがある。
「・・・」
何かはわからないが確実に殺傷能力があるものだと又兵衛は判断する。
それにしても。
風呂敷から飛び出すあらゆるものは如実に持ち主を示していた。
やたら南蛮ものが多いもの。
得物や暗器が目立つもの。
書籍が溢れているもの。
菓子類が目立つもの。
・・・などなど。
「又兵衛殿。何をぼーっとしている」
「おお、盛親」
はっと気づけば数歩先に盛親がいた。
彼は抱え込んだ寝具を、なんとなく名残惜しそうに置くと、又兵衛に視線を戻した。
そして静かに
「又兵衛殿が怠けていると、全登殿に知らせてくる」
言うや否や部屋を足早に去ろうとする。
「ちょ・・・っと待て盛親!これはだなぁ!」
「詭弁を弄するとは、お見苦しい」
「違う!これは言い分だ!・・・!」
又兵衛はがちゃがちゃと足元の荷物にぶち当たりよろけながらも進んだが、
盛親はそれよりも早く去ってしまう。

諦めて肩を落とす又兵衛の視界にふと目に入ったものがあった。
もともと古かったのもある所為か、欠けた陶器だ。
その側には南蛮ものが飛び出す風呂敷。

又兵衛の頭を掠めたのは、これから起こり得るであろう事態。
今までに無いほど、彼の背筋は凍った。

2008/12/31  BASARA

敵に囲まれてしまった!
近くには小太郎もいないし・・・

あまりの心細さに涙ぐみながら氏政は己の得物をぎゅっと握り締めた。


こんなにも怖いなんて。
ああもうだめだ。
「うわぁぁぁんっ!ちちうえぇ~~っっ!!」
尊敬してやまない父の名を泣き叫びながら氏政はへたり込んでしまった。

その瞬間。
周りを囲んでいた兵たちがばたりばたりと倒れた。
何も衝撃が来ないのを疑問に、そっと目を開けた氏政の前には、
風魔小太郎の背があった。
「・・・」
無言でカチリと武器をしまう。
そして小太郎はゆっくりと氏政に振り返り、その小さな体を抱き上げた。

氏政は乱暴に涙を拭うと、落ちてしまわないよう小太郎にしがみついた。
「小太郎!よくぞ来てくれたっ!!儂はもうだめかと思ったぞ!」
「・・・」
小太郎は微かに微笑むと、
この手のかかる主を、御館・氏康の元へ連れて行くべく宙を跳んだ。








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・・・氏康好きだとどうしても氏政はがきんちょに。

雪洞。




その時は何故かとても恐ろしかった。
顔を見るのが。
声を聞くのが。

嗚呼いっそこのまま己が溶けてしまえばいいのに。
それが出来ない。
それが弱さ。
それも強さ、であって欲しいと思う。

「あ、にう え、」
酷くとても言葉として成立したかもわからない呟き。
ゆっくりと振り返る、家督を継ぐべく育てられた兄の顔。
全てをこなす兄の顔。
劣等感さえも抱かす隙間を与えないほどの。

この人は自分の兄なのか。
本当に。

「どうした。今にも泣きそうじゃないか」
優しく微笑んで歩み寄る兄。
恐れていたはずなのに。
その声を聞いて酷く安堵する己がいる。
 

足元が、ほんのり照らされた。

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