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2008/12/31)
創作戦国
子どもと遊ぶ。
「早う追いついて来ぬかーっ」
けらけらと笑いながら庭を駆け巡る子が一人。
時折背後を振り返ってはにこりと笑う。
「おっ、お待ち下されっ」
ばたばたとその後ろを駆ける男。
彼は先を走る子が今に転ぶのではないかと気が気でなかった。
そんな二人を眺める人物が一人。
「手加減しておやりー」
縁側に座って、湯飲みを持たぬ側の手を口に添えて子に声を掛ける。
その声はまるで春風。
子は敏感に反応し、即座に方向転換した。
「ちちうえ~っ」
風の子のように駆け抜け縁側に向かって飛ぶ。
少し遠くで男の「あ」という短い叫びが子の耳に入った。
男の予想に反して、危なげもなく子はすとんと座る。
紅潮した頬を向ければ、子の父はくすりと笑い、手拭いを子の額に押し当てた。
汗がじんわりと手拭いに染み込む。
やがて追い付いた男がへなりと笑った。
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